目次
ちょっと手間がかかるけど、仕覆らしい仕覆
前回まではミシンだけで簡単にパパッと作れる仕覆(しふく)の作り方を説明しました。
- 茶入の仕覆の作り方 初級編 バージョン2 さらに簡単☆
- 茶入の仕覆の作り方(初級編)。簡単にミシン縫いでできるマニュアルを、無料で公開。
- おしふくは作れる!余りのツイード生地で茶入の仕覆を作ってみたら、ほっこり&かっこいい。
今回は少し手間がかかるものの、こんな改善点があります。
- 裏地がある → 開くと美しい!
- キルト芯を付けた → 中身が安全
- つがり糸 → より仕覆らしい見た目に。
※ 2021/9/17 その後、さらに簡単に美しい作り方をアップしました。仕覆の作り方 中級編 v2 型紙、裏地つき、ミシン縫い
それでは仕覆の作り方、中級編をご説明します!
完成形
まずは完成形を見てみましょう。
※ 今回の中身は茶碗ですが、どのサイズ・形にでも使える作り方です。
生地選び
さて、作り方の前に楽しい生地選びからですが、中身の器にあててみます。今回は茶碗です。
今回はド派手な生地ですが、、茶碗に当ててみて「これやってみたらどうなるんだろう」とドキドキしたので、この生地にしました 😀
裏生地も一緒にあわせて選びます。
裏生地は無地のデニムにしました。
どちらも地厚なので針の通りが悪く大変ですが、何とかなります。
中身のサイズを測る
1.円であれば直径を、円でなければ横幅を測りましょう。
2.高さを測ります。
3.てっぺん→手前→底→後ろ→てっぺん の周囲の長さを測ります。
メジャーだとたわむので、厳密に測りたい人は細長く切った紙で測ります。
今回の茶碗はこのようなサイズでした。
- 直径 12.1cm
- 高さ7.6cm
- てっぺん→手前→底→後ろ→てっぺん の周囲35cm
生地サイズを算出
測ったサイズを元に、生地の裁ち落としサイズを計算します。
このように同じサイズの表生地・裏生地を裁断するわけですが、その長さ・幅を算出します。
幅(横)
出来上がり幅:円周の半分
裁ち落とし幅:出来上がり幅+4cm(縫い代2cmを2か所)
今回で言うと、
出来上がり幅:12.1 × 3.14 ÷ 2 = ほぼ19cm
※直径×円周率=円周です。
裁ち落とし幅:19 + 4 = 23cm
です。
長さ(縦)
出来上がり長さ:「てっぺん→手前→底→後ろ→てっぺん の周囲」ー2cm
※2cm引いているのは、てっぺんで紐を結び合わせるスペースが必要だからです。
裁ち落とし長さ:出来上がり長さ+4cm(縫い代2cmを2か所)
今回で言うと、
出来上がり長さ:33cm
裁ち落とし長さ:37cm
です。
なので裁ち落としは表生地・裏生地共に 37cm × 23cm です。
このように裁断しておきます。
接着芯
今回はキルト芯を使います。
が、手芸わたでもOKです。
※ 手芸わたは、表生地と裏生地を合わせて縫う際に入れ込んでください。
キルト芯の場合はサイズを決めて裁断しておく必要がありますが、そのサイズは
生地の出来上がりサイズ ー 5mm
です。
今回で言うと 36.5cm × 22.5cm です。
そのキルト芯を、生地の中央にアイロンで貼ります。
表生地を作る
生地を縦半分に折ります。
ここに、中身(ここでは茶碗)を入れて、底の左右に折り目をつけて、線を引くか洗濯バサミで覚えておきます。
このように、4か所にミシンで直線で縫います。
図で書くとこのようになります。
※ 斜めのミシン縫い2本は必ず必要ですが、垂直のミシン縫い2本はなくてもOKです。
布の表裏をひっくり返し、試しに茶碗を入れてみます。
この時点でぴったりしていれば裏生地の作業へと進みます。
ぴったりせず、底面がボコッと飛び出てしまったら、その部分を内側にたたみ込みます。
そして、そのたたんだ部分を内側からミシンで縫って固定します。
裏生地を作る
表生地と裏生地を重ねる
できあがった表生地・裏生地を重ねます。表生地は表側(色柄のある側)が外側に、裏生地は表側が内側になります。
裏生地の縫い代を外側に折り、出来上がり線に沿って(縫い代2.2cmのラインで)アイロンをかけます。
※ 裏生地だけ縫い代は2.2cm取ります。表生地より2mmだけ出来上がりが小さいのは、外側から裏生地が見えないようにするためです。
表生地は逆に、縫い代を内側に折ります。出来上がり線の縫い代2cmラインでアイロンをかけます。
その際、角は斜めに折り線が見えるようにします。そのままだと表裏の生地を重ねた際に、縫い代が外にはみ出てしまうためです。
表生地・裏生地を重ねます。
※ 少しだけ裏生地が小さく重なるはずですが、そうなっていなければ裏生地のアイロンをかけ直してください。
洗濯バサミかマチ針で固定します。裏生地の方が2mmほど小さくなるよう止めます。
実際に中身を入れて大きさの確認をします。中央で表生地の端同士が出会いますが、重なりません。2cmの隙間があくようにします。紐の結び目のためのスペースが2cmの隙間です。
表生地と裏生地をクケで縫い合わせます。
縫い合わせの端は、壊れやすいので 閂止め(かんぬきどめ。グルグル同じところを縫って補強すること)しておきます。
横から見たところ。
以上で、本体は完成です!
紐& つがり糸
紐の裁断
紐の長さについては伊藤組紐店が良い情報を発信していますので、ここを参照しましょう。
今回は直径が12.1cmの長緒なので、つゆ結び以下の長さは48cmです。
実際に裁断する紐の長さは、
48×2+10=106
で、結び目の部分を10cm足して合計106cmとします。
紐と つがり糸の材料
本来は紐とつがり糸をセットで専用の店から買いますが、今回は百均の江戸打紐と刺し子糸で代用しました。
※ 刺し子糸はすべりが悪く紐のスライドがしずらいので、ロウソクにこすりつけてから使っても良いです。
紐の結び目
仕覆の紐の結び方は「つゆ結び」と言いまして、一般的です。検索すれば出てきますが、ここではこの動画をご紹介します。
結び目から余った部分の長さですが、1.5cm~2.5cmです。
分からなければざっくりと常緒(短緒)なら1.5cm、長緒なら2.5cmといったところです。
その長さで、結び目の余り部分を裁断します。
結び目の付け根と紐の先端の2か所をミシンの直線縫いで固定します。
そして、先端がほどけないようにロウソクなどをたらしておきます。
つがり糸の縫い方
この部分はとても複雑なので、別ページで解説しています。
仕覆の「つがり糸」の縫い方