着物にできる洋裁生地のポイントとオススメ素材

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洋裁生地の方が作りやすい

着物用の反物って普通は幅40cmくらいなのに対し、洋服用は110cmくらいが普通です。

洋服用の方が幅広なので、縫い合わせる個所を減らせて楽に作れます

デメリットとしては、使われない無駄が出てしまうことです。

昔は人件費より反物の方が高かったので反物の無駄がないのは良いことでしたが、ロボット化が進んだ現代ではモノの価値が減り、人が手間をかけるコストが上がっているのです。

そのため当店では人の手間を減らすべく、洋服用の幅で作ることをオススメしています。

でも選び方が大事

とはいえ全部の洋服用の生地が着物に使えるわけではなく、むしろ使えない生地の方が多いです。

素材感や色味がぜんぜん着物的ではないからです。

そこで、着物に使える洋服用生地を、どう選ぶかを解説します。

生地の風合い、表情が大事

着物は帯・羽織以外は一つの生地で統一するため、体に占める面積が非常に大きいです。

そのため着物の生地に大きく柄が入っていると、全体がうるさい印象になってしまいます。

そこで、帯や半衿などと違い、着物については無地に近い、または遠目で見ると無地の生地の方が落ち着いて見えるわけです。

とはいえ、全くの無地だとノッペリした印象で、これはこれで着物としてはおかしい見た目になってしまいます。例えば手芸屋さんでこのような無地の生地を見かけますよね。

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なので、ここまでノッペリせずに風合いや表情のある生地を選ぶことが、とっても大事なのです。

例えば僕の最近仕立てた浴衣ですと、しじら織という凹凸のある生地で、さらに遠目では無地っぽく見えるくらいに薄く細い横線が入っています。

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このように、さりげない範囲での生地の表情と柄があると良いのです。

それでは、どんな風にして生地を選べば良いのか?

一つ一つの要素について解説しますよ。

1.織り

生地は縦糸と横糸を織って作るわけですが、この織り方によって生地に表情が出たり出なかったりします。

まずは平織という、縦糸と横糸が1:1の割合で均等に織った生地ですが、↓の生地は手芸屋さんに行く方なら見かける言葉ですね。

シーチング、ローン、ブロード、オックスフォード、キャンバス(帆布)などです。

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織りによる表情が出しづらいので、このワードを見たら基本は避けた方がいいです。

※ 糸の素材、プリント、縦横の糸の違い(シャンブレー)などで表情が出せれば着物にも使えます。

でもだからといって平織じゃないなら良いのかというと、手芸屋さんで見かけるツイルは、あんまり着物的じゃなかったりもします。

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参照:nippori-tomato.com

着物屋さんでたまに見かけるサザンクロスは、織りで表情を付けていて着物にも使えます。

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糸に染まった色は均一な紺なんですが、生地に凹凸があります。

具体的なオススメ素材は後述しますね!

2.色味

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こういう色が均一に染まった色だと、全身がのっぺりした印象になり、着物としては違和感になります。

そのため色で風合いを出すなら、こんな生地が良いです。

  • デニム、シャンブレー、ダンガリーのように縦糸・横糸で違う色を使っている

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  • プリントで表情を付けている
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参照:rakuten.co.jp

こちらの参照写真は紬(つむぎ)風のプリントです。生地に紬のような風合いを印刷してしまうのですw

他にもデニムを印刷してしまう生地などもありますが、近くで見ると本物感がないので慎重に選びたいところです。

  • 杢(もく)という、2色混ざった糸で織った生地。

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ただしこの杢はニット素材がほとんどで、伸びてしまう(ストレッチ)ので、和服で使うなら羽織くらいで、着物にはあまり使えません。

3.糸

スラブは太いところと細いところのある糸で織ることで、生地の色が無地でも表情を持たせることができます。

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参照:nippori-tomato.com

この参照の写真だとラミネートでキャンバスなのですが、ラミネート加工されていず、もっと薄ければ着物として使えます。

4.材質

綿、麻、ウール、ポリエステル、どれでもOKです。

絹だと手縫いが必要なので、今回のオススメからは外しておきます。早く簡単に縫うのが目的なので。

オススメ素材

以上4つの要素を見てきましたが、具体的にどれを選んだらいいのか、キーワードを紹介します!

生地屋さんの解説にこの言葉が含まれていたら、「着物に合うかも」と判断材料にしてください^^

  • 〇〇木綿:会津木綿など和の素材で幅広(110cmくらい)なら、しっかり着物にできます。
  • カツラギ:柔らかですが厚めなので、羽織に良いです
  • デニム:軽いデニムなら普段使いできます。8オンス以下がオススメです
  • ダンガリー:デニムより淡い色合いです
  • シャンブレー:平織りですが、霜降り調の表情があります
  • スラブ:太い細いのムラある糸で織ることで、生地に表情が出ます
  • ドビー:織る機械により凹凸ができるので、無地でも表情が出ます
  • サザンクロス:ドビーの一種で、着物によく合います。
  • シアーサッカー:しじら織のことで、生地に凹凸があり涼しい素材です

オススメ素材

↓の素材は着物として仕立てることは可能なんですが、着心地や見た目が「着物」っていう感じではないのです。

一つ一つ理解までしなくていいので、生地屋さんで選ぶときにこのワードが出てきたら選択肢からはずす、といった対応でOKです。

例を挙げますね。

  • シーチング:軽すぎて裾さばきがモタつきます
  • ローン:自然な風合いが足りません
  • ブロード:自然な風合いが足りません
  • オックスフォード:生地に表情が足りません
  • キャンバス(帆布):重く固いので、バサバサします
  • レーヨン:テロテロなので着物というよりはドレスになってしまいます
  • サテン:同じくテロテロで、コスプレになってしまいます
  • ガーゼ:シワシワになります^-^;
  • ツイル:綾織りなのはいいのですが、たいてい色合いがペラッとしているので要注意です

幅110cmだと作りやすい

参考までに、幅110cmが必要な理由をお伝えします。読み飛ばして大丈夫ですが、詳細を知りたい人用です。

洋裁用の生地は、このような作り方の場合に、無駄なく生地を裁断できます。

  • 前身頃と後身頃は別に裁断し、肩山で縫い合わせる
  • 前身頃と衽は別にせず一体で裁断し、つまみ縫いで境い目を作る

その場合、片方の前身頃で53cm程度使うので、一つの幅(110cm)で左右の前身頃を取れます。

以下は計算の詳細です。

  • 肩巾36cm、後巾30cm、前巾25cm、衽巾25cmで計算します
  • 36(肩巾)-30(後巾)=6
  • 2(縫い代)+6(↑の差分)+25(前巾)+2(つまみ縫い)+15(衽巾)+3(三つ折りの縫い代)=53
  • 53*2(左右あわせて)=106
  • 106が110より小さい

それでは、和裁を学ばずにミシンで着物を仕立てる人が増えることを願っております 😀

グッドラック!

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