DSC_0086

着物業界の問題と対策 2016年秋バージョン

DSC_0086

去年の秋に行けた草花。ツッコミどころは多いとは思いますが、まー秋っぽい写真ということで 😉

お話の流れ

今日はこんな感じで話を進めます。

  1. 問題は、「同じ世代の日本人が着物を普段から着ていなくてさびしい。僕だけ着物で出歩いてちょっと浮くのはもうやめたい」という僕個人の不満
  2. 解決策として、「デビューする人を増やして、さらに継続的に着てもらう」のが道筋
  3. その具体的な方法

着物業界の問題、というか僕個人の不満なのですよ

ニュースでは「若者の着物ばなれが進んでいる」とか、呉服屋さんからは「呉服屋に若いお客さんが来ない」とか聞きますが、僕の実感としては、「僕だけ着物を着ていてさびしい。周りのみんなも着ればいいのにー」といった単なる不満なわけです。

でも、もちろんながらこの記事を書いているのは、同じ不満を多くの人が持っていたり、共感してくれるんじゃないか?と予想・期待しているからです。

そんな共感してくれるかもしれない皆さまと今日考えてみるのが、当記事タイトルの「着物業界の問題と対策」という大きなテーマです。今年の春にも同様のタイトルで書きましたが、その後の活動結果に影響されて大きく考えが変わってきましたので、修正版的に当記事を書きます。

前回

過去記事:着物業界の問題点まとめ &対策

前回は↓な感じで僕の目に見える問題を列挙してみました。

■ 着る人/お客さん側から見た問題

  1. そもそも興味がない
  2. 興味はあるが着物がないし着方も知らない
  3. 着物は高いイメージがあるし、呉服屋に入るのが怖い
  4. もらった着物はあるが着方が分からない
  5. いわゆる「お直しオバサン」
  6. 着付けを習おうにも教室の料金が高いし、学ぶのが大変
  7. 「自装だけ・手荷物不要・低価格・押し売りなし」の着付け教室を見つけづらい
  8. 着付けを習って着物を買ったものの、着て行く場所がない
  9. 「自分では作れない」誤解

■ 着せる人/業界側から見た問題

  1. 呉服屋の高級路線化
  2. 呉服屋の多過ぎるマージン
  3. 呉服屋の手土産 & 言い値
  4. 職人の少なすぎる手取り
  5. 職人の仕事が海外に流出
  6. 「付き合い」という名の店しばり
  7. 無駄な制作ステップ

前回との違い

でも、今なら思うんですが、じゃ「これらを全部解決すれば着物を着る人が増えるのか?」というと、答えはノーの気がしております。

実はみんな、低価格や着方を安く簡単に習うことにこだわっているわけでもなさそうなんです。あくまで空気・雰囲気から感じていることなので証拠はないですが。

最も重要な問題は、前回と重複しますが、この3点に絞られます。

  • 異文化として興味がある (もはや なつかしさ はなく、新しい)
  • 高そう&怒られそう なイメージ (実際僕は安く買う方法を知っているし怒られたことはないのですが)
  • 着ていく場所・理由がない

この問題を、図と共に解説していきます。

僕のイメージする着物のピラミッド

一般に知られる着物を買う手段って呉服屋さんで買うことだと思います。しかし誤解を恐れず言うと、呉服屋は高級路線であり、熟練者かつお金を使える人が行くところです。

↓の図は、僕のイメージする高級な着物を買うまでの流れと人数比です。

図1
図1

デビューしたうちの一定数がお出かけするようになります。そのうちの一定数が”ちょっとした”おでかけに着物を着るようになり、さらにそのうちの一定数が着物でカフェなど行くようになり、その中から「さて、呉服屋でいい着物でも仕立てるか」となるのが自然かなーとイメージしているのです。

洋服でたとえると、中学生でジーパン・ティーシャツのファストファッションを買うようになり、大学生でマルイのちょっといい服を買い、社会人になりオーダースーツを注文するようになるといった流れです。

では、上の図をイメージした上で、問題なのは熟練者が着物をイヤになって着物をやめるのではなく、そもそも着物デビューする人口が少ないことです。一番下の層が増えないことです。

次に、デビューさせたものの着る理由や機会がないから着ない状況となっていることが問題です。結果、熟練者へと育たず高級着物の価値の分かるところまでたどり着けない、というのが僕から見た状況です。

向かうべき方向

そこで、向かうべきざっくりとした方向は、

  1. とにかくデビューする人を増やす
  2. デビューしたら、継続的に日常の場所で着物を着てもらう

この二点に尽きますね。高級着物をオーダーしてもらうのは、デビューから三年は先だと思います。

はい、では具体的な対策に落としこむ前に、言葉を明確にしておきます。

デビューにも種類がある

  • そこにあるのをちょっと着せてもらうだけ
  • 着物をとりあえず買ってみた。
  • 着付け教室に通って着物を買った。

このように、デビューと言えど色々ありますよね。

この店を始めたばかりの時は、着物を買ってもらわないとデビューできないじゃんと思っていたんですが、「着物を着ない」から「着物を買って着る」までって、実は大きな段差があるんですよね。

  • 着物の着心地を知らない
  • 自分に似合うのかが分からない
  • え、ちょっと待って着物ってホントに着る人いるの?

のように、最初の感覚が全然追いついていないんですよ。

おそらく、だいたい80歳以下はみな同じ感覚だと思います。

脱線しますが、とても年上の、よゆーで定年後だけどアクティブな方が、古い料亭で日本酒をめでる会に誘ってくれたことがあります。

着物で行くものだと予想して着物で行ったら、みんな洋服でした。しかもみんな同じくらい年上。着物で来てくれたー、と嬉しそうな反応で、スタッフさんがとてもとても上座へと座らせてくれました。もちろん二回は断りましたよ?w

そんな年上世代ですらそのような反応ですから、ワカモノ世代にとって着物はマジでハテナなのです。

「1.とにかくデビューする人を増やす」への具体的アクション

「呉服屋行こうよー買おうよー」と誘うのではなく、「少しずつ慣れた上で安い着物へ誘導する」流れです。具体的なストーリーとしては↓の通りです。

  1. 僕が着物を着て現れる
  2. 相手は興味をもって質問する。「どうして着物なんですか?寒くないんですか?高価なんですよね?職業がそうなんですか?ご両親も着物ですか?」に、全部ていねいに回答する。
  3. だんだん空気が盛り上がってきたところで、「ここにあるけど、ちょっと着てみます?」→着物をはおってもらい、帯を巻く
  4. 「えーこんな簡単に着られるんだ!」とびっくりします。
  5. すぐ脱いでもいいし、着心地が良さそうならそのまま着てもらう。別の話題に切り替え、おしゃべりなり飲みなりを続ける。
  6. その日はこれ以上物事を進めない。
  7. 後日同じような状況で同じ人に出会うなら、興味がありそうなら、また着せるだけ。
  8. 次のステップに進みたい人は、彼ら側から自然と聞いてきます。いくらくらいで買えるの?どこで買えるの?何を買えばいいの?→全部ていねいに回答する。古着屋さんに一緒に行ってほしそうなら行く。楽天やAmazonで一緒に検索してあげる。

(これ。。書いてたら、なんかナンパ指南書っぽいですかね?w)

もちろん希望者には高級呉服店を紹介しましょう^^

そろそろ「着物は1枚数万円~」っていう「常識」から抜け出しませんか?

ここで注意したいのは、あえて希望しないなら、オーダーメイドの呉服屋さんには連れてかないこと。

個人的な経験によれば、連れてって少なくとも三人デビューしたのですが、一着数万円の着物でそれしか持ってない状況だと、コーヒーとか気楽に飲みに行けないわけです。ちょっとこぼしただけで終了するからw または高額なクリーニング代がかかりますから。

なので着物を買って終了となり、次に話す「継続的に着物を着てもらう」につながらなくなってしまうのです~(T-T

ネットでも古着屋でも安く買えますから、コーヒーやしょうゆをこぼしても、家に帰って丸めてクシャっと放っておいても大丈夫な、気楽なデビュー直後の着物生活を応援したいものです。

「2.デビューしたら、継続的に日常の場所で着物を着てもらう」への具体的プラン

せっかく着付けを覚えて着物も買った。なのに着る場所がない、とさびしく思う人は多いと思います。

この「着ていく場所がない」問題というのは興味深いことに、自分たちで制限をかけちゃってるだけなのです。ホントはどこに着て行ったっていいのに。

でも心優しいひとたちはこう思うんです。

相手が洋服で、場が洋風なのに、自分は着物。。

これはツライ!!!

と。

浮いちゃうし、周りの視線をなんとなく感じるし。。気まずい~。店員さんも「お着物ステキですね」とかわざわざ着目しなくていいよー(ToT)

とか?

だから着物団体や着物屋さんは「着物でお出かけの会」などのイベントを立ち上げて、歌舞伎を見に行ったり庭園散歩をして和風なことをしちゃうわけですよね。

着物を着たい人たちの多くは、無理に着物だからって歌舞伎や落語を見に行ったりしたいわけじゃなくて、悪目立ちしたくない方が優先だと推測しています。浅草なら着物で歩いても変な目で見られないだろうし、レンタル着物で歩く人もいるから厳しいチェックの目もないだろうし、とか。

だからイベントに参加して「着物で行くのに自然な場所」に行くわけですが、悪目立ちしなければどこでもいいわけですね。

ということで、派手でもなくお金がかかるわけでもなく、単に悪目立ちしないような形で、無理なくキバらず定期的に着物を着るお誘いをすると、日常の習慣になるかなぁと。

「悪目立ちしたくない度」ごとのお出かけスタンス

それぞれ人により「悪目立ちしたくない度」は違いますから、その度合いに応じて会なり誘いなりの内容を変える必要があります。

表にしてみました。「悪目立ちしたくない度」MAXは5、最小は1です。

集合時の服 集まる街 入る店 出歩く相手
5 洋服 和風 和風 和服
4 和服 和風 和風 和服
3 和服 洋風 和風 和服
2 和服 洋風 洋風 和服
1 和服 洋風 洋風 洋服

↑の表を文章にしてみるとこんなんなります。

  • 5. 洋服で集合。和室で持参した着物に着替える。室内で茶でも飲んでしゃべるだけ。
  • 4. 各自の家で着物を着て集合。和の町(東京なら神楽坂とか浅草とか)を歩き、和カフェや和風の飲み屋に入る。
  • 3. 各自の家で着物を着て集合。洋風の町(六本木とか、丸の内)で、和風の店で食事、お茶。
  • 2. 各自の家で着物を着て集合。洋風の町(渋谷とか原宿) で、スタバなどの洋風の場所に入る。 ※この辺りで周りのお客さんが「あれ?」ていう顔をする人が現れるかも。
  • 1. 洋服を着る人と和服を着る人を混ぜて、少人数(2対2くらい)で洋風の町、洋風の場所に集合。 ※ここまでやれればもう一人でも行けると思います。

無理のないところから始めて、徐々に「1」に向けて慣らしながら何度も着る機会を設けたらいいですね。

以上ですが、

気の長い話でしょうか?

これは教育やPRによって一括で解決するわけではないと思います。今までの習慣を変えるファーストペンギン(群れの中で最初に海に飛び込むペンギン)たちが現れて、ある程度の数そろってほしいなぁと。そうしないと、いくら着方や入手方法を知っていても、CMなどで呼びかけても誰も実行しないでしょうから。

まずはファーストペンギンたちを着実に少しずつでも世の中に送り出していくことが、その後の大規模な施策に向けた布石であると思うのです。

今回も前回同様に、皆さまからのフィードバックをお待ちしています! 😀

 

当店の商品

Facebookで更新を受け取る:

Twitterで更新を受け取る:

Lineで更新を受け取る:

友だち追加