最近はクチコミシステムやCG仕立てなど、着物業界に必要と店主が思う機能のIT化に取り組んでおります。
そんな折にファッション業界でのIT化に取り組む会議があったので、勝手に着物業界を代表して参加してきました。
FashionTech Talks
Fashion Tech Takls のミッション
Fashtechのトレンドを追いかけるエンジニア同士を繋ぎイノベーションを加速させるための議論の場を作る事を目的に開催されます。
” 議論をTechnologyにフォーカスし続け、知識の蓄積を深化させるお手伝いがしたい!”
日本の着物以外のファッション業界では、もう3D化やVR(バーチャルリアリティ、仮想現実)化が進んでいて、着物業界だけが思い切り遅れているのだと思っていました、イベントに参加するまでは。
しかし各エンジニアの発表を聞くと、どの会社もそれぞれ苦戦しながら道を切り開いている模様です。
僕の印象に残った技術革新をまとめます。
小型のコンピュータ(Rasberry Pi)とカメラをつなぎ、店舗前の人数を数えます。
誤解を恐れずに言うと、画像から人を認識する技術を使っており、これが最先端です。最近のAI(人工知能)の進歩の一つは画像認識で、学習能力が前よりも飛躍的に伸びています(Deep Learning)。
僕の想像ですが、これを使うと店内で商品を手にした人数と、人の滞在時間も分かります。
それによりウェブ上の購入率の算出ができるのです。
ネットでは
訪問人数 / 購入人数 = コンバージョン率
であり、この率を高めることがネットショップの目標です。さらに細かく言うと、例えば
- 1000人訪問した
- 50人がショッピングカートに入れた
- 48人が購入手続きに進んだ
- 10人が住所・名前・電話番号を入力した
- 9人が購入手続き完了ボタンを押した
となります。この場合、「3」から「4」への離脱率が最も高いので、ページ「3」でのレイアウトや説明を調整するという対策が打てるわけです。(「1」から「2」へは5%もあれば十分と言えるでしょう)
それでは実店舗ではどうでしょう?そこまで詳細なステップまでに分割して対策を打てるでしょうか。
現段階では来店人数をカウントするのが関の山で、商品を手に取った数や店舗での滞在時間まではカウントしていないと思うんですよね。
ネットショップのノウハウをIT化で実店舗に導入する。感動しました。
えてしてネットショップには大量の服があふれていますが、お客さんはスカート・パンツ・シャツ・ブラウスなどのタグや検索ワードで分類しすることで、好みの商品に出会えたりしますね。
しかし数千~数万の商品を人の手で分類するのはコスト(労働費用)がかかります。
これをAIの画像認識で行なえる模様、という発表がありました。
使ったのはGoogleの発表した 「Cloud Vision API」。
参照:cloud.google.com
パンツとスカートの違いを認識してテキストにしたり、画像内の日本語をテキストにしたり、色までも検出したりと、ある程度の分類なら実用に耐えそうな出来でした。
当店の帯も種類が大量になってきたら導入できそうです。
上記のCloud Vision APIは既に完成させた(学習済み)プログラムですが、学習段階から使えるソフトウェアもGoogleのチームからリリースされています。
TensorFlow。
ポイントは、このソフトウェアは画像認識や言語認識ができるコア技術で、誰もがそれを自分のソフトウェアに応用できることです。
簡単なインストールと設定で、自分のデータ(例えば画像と名前の組み合わせの1000通りなど)を読み込んで学習させられるそうです。
これを応用する状況ですが、現在は楽天市場で「男 長着」などで検索すると、長着以外にも帯や羽織、着物セットまでもヒットしてしまい、検索の質が低いです。
そこで「この画像は帯だよ」「この画像は長着だよ」と教えることで、検索の質が上がった検索フォームを作れるかもしれません。
最近はソフトウェアを作ってリリースしたものの中身となるデータ、例えば着物教室の登録数やクチコミ数、が全然足りていないのでひとまず僕自身でちょこちょとデータを増やしていきつつユーザからの反応を待ちたいと思います。
しばらく経ったらその反響を踏まえて次の手を考えます。
今のところ印象に残った技術革新は以上です。
が、着物業界でコーデアプリなどは作られているようですが、外注しているのか自社開発しているのは知りません。
業界内にITエンジニアがいればつながりたいものですが。。。どうでしょうね^^