↑茶会で客をもてなした帰り、スタバで客になってもてなされてます。ふーやれやれ、の図。
目次
なぜなのよ
外国人からも日本人からも、「Why Kimono?」ってよく聞かれます。
その場その場で聞いた人に納得してもらえるように答えていますが、今日は徹底的に、色んな角度からbecauseを説明していきたいと思います。
文学部だったんですよ
僕は文学部国文学科だったこともあり、元々古い日本の文化が好きでした。その流れで着物にも興味を持つようになりました。
というと、たいてい納得してくれます。これも一側面ですが。
僕は古今和歌集などの和歌とか、伊勢物語などの歌物語(和歌と物語がセットになっている読み物)が高校の時から好きで、今でもたまに読み返しています。
高校の古典の授業で、みんな寝ている中、先生の講義を聞きながら一人涙ぐんでおりました。なんて美しいストーリーなんだと。
はい、では他の理由に行ってみます。
分りやすいから
僕は一人で和歌を詠んだりしますが、誰か返歌でもくれればもっと楽しいのになーと思うことがあります。なので和歌仲間や、古典仲間が増えるともっとうれしいのですがー、同じ世代で。
でも古典って覚えるべき文法や語彙が多過ぎるのでハードルが高いと思うんですよ。
でも着物ならぱっと見てかっこいいな、きれいだな、とか分りますよね^^
同じ日本文化の仲間を増やすのでも、障壁が低いものを選んだ方がやりやすいということで~ 🙂
音楽をやっていました
20代前半は音楽をやっていました。自宅で録音して、CD作ってライブしたり。僕は裏方で編曲や演奏・録音などしていましたのでライブには参加しなかったですが。
時代に合わせたポップな音楽を中心に作っていましたが、一方で「日本人が世界に出るための音楽って何だろう」と疑問に思っていて、やはり「日本人は日本人らしい音楽」を奏でるのが一番じゃないかな、という思いがありました。
そこから日本の伝統文化を各ジャンルでつまんで聞いたりしていくうちに、伝統音楽だけでなく、日本文化の他のジャンルへも広がっていくのでした。
たとえば長唄なんかは歌舞伎のBGMですしね?
ちなみにですが、売れセンでもなく伝統音楽でもなく、ニュージーランドで作った歌がyoutubeではんぱない再生回数になったことがあります。
歌詞が地元ウケを狙ったものなので、日本人にはウケないですが。。ニュージーランドの人たちからは「まじでhilarious(超ウケる), sorry」とのことで、「真剣にやってるのに笑ってごめん、でも超おもしろかった」だそうです。
この音質ひどいのは許してください^^ スカイプ用にニュージーランドに持ってきたヘッドセットだけで、ドラムからベースから全部の楽器を声でやっているもので。
中学生時代、ロックの歌詞に違和感
僕が中学生のとき、兄はBO0WY(ボウイ)というロックバンドにハマっていました。僕も隣りの部屋から聞こえるので自然と好きになってくるわけですが、でもその歌詞には違和感がありました。
なぜかサビの一番大事な部分に英語が入っているんです。
SHE HAS A BEAUTY FACE 女神のようなその顔で
SHE HAS A BEAUTY FACE 花をちぎる
…
NEW YORK NEW YORK アイツを愛したら
NEW YORK NEW YORK 星になるだけさ
https://www.youtube.com/watch?v=Fd0YWl7gzpA
とっても不思議だなぁと思っていました。兄に「なんでー?」って聞いたら、「そこを日本語で言ったらかっこ悪いだろう、変えてみ? 『彼女は美しい顔を持っているー♪』って変だろ?」という説明なのでした。
なんとも分ったような分らんような、という面持ちで、今度は中学校に臨時で来ているネイティブの英語教師に聞いてみました。
答えは覚えていないですが。。
いずれにしても、その頃に違和感を覚えた記憶がありますー 🙂
間接的な日本への貢献
この理由は壮大過ぎて、初対面で「なぜ着物?」って聞かれたときには言わないようにしています。「無理だろう」ってひかれるから。。^^
日本は技術立国とは聞きますが、技術をどう使って人に貢献していくかってことも大切だと思うんです。
よく「なぜグーグルやアップルが日本で生まれないのか?」っていう記事がありません? その原因の一つが、歴史を踏まえずに全部自分たちの過去を捨ててしまって、哲学がないことがあると思うのですよ。
なので、一生懸命ITベンチャーを作ったりバイオ研究を行うグループは大事だとは思いますが、その一方で、じゃぁその技術をどう使うべきか。僕らはどう生きるべきかっていうことを考えるグループも必要なんじゃないかなーと感じるわけです。
Why Kimono?
外国人を自宅に招いて着物を着せてお茶を差し上げたところ、やはりWhy kimono?と聞かれました。なぜそんなに日本文化を深めて広めることをがんばっているのかと。
そりゃ
Unless you know what you are, you don’t know where to go.
(自分自身を知らずに、どこへ行くかは分らない)
でしょう。と言ったら、感嘆していました。内容についてではなく、僕の英語力についてだそうでw 「外国語でそんな概念的な話ができるなんてスゴいね君は」とのことでしたw
ということで、彼が僕の考えに対してどう思うかは、聞き出せなかったと思います。
着心地が良い
最近の洋服は肩幅も胸もおなかもお尻も足も、全てタイトにできていたりします。体のラインをしっかり出すようにデザインしているんでしょうね。
そのために、電車の吊り輪に手をかけたい時でもジャケットやシャツの肩がきつくてあがりにくかったり、椅子に座るときにはおしりがきつかったりします。
着物だと上半身はふんわり着るものなので、後からそっとカーディガンをはおっているかのように優しい着心地なのです。逆に下半身はタイトに着るものなので、初心者で歩き方を知らない場合には歩きにくいと感じるかもしれません。あと、帯もちょうどよい締め具合を知るまではきついかもしれません。
総じて、着物は普通に歩いたり座ったりしている分には、最近はやりの洋服よりも着心地は良いです。
さらに、着物で正座をすると、和の雰囲気に浸れます。袖の長さにより所作も和になりますし。
自分が和の空気をまとえる、というのは他の日本文化には無い着物だけの特徴なのかもしれません。
以上ですが
何か質問などありましたらどうぞコメントなどでお知らせください 🙂
コメント
うーん、私の場合は何でかしら?
日本にいた頃は、全く興味が無かったから 着物を着たことがなかったんです。
で、当地に暮らすようになってから、いわゆる“日本美再発見”で着物を着るようになりました。美術館とかクラシック音楽のコンサートによく着て行きます。
でもね、スウェーデンの人たちって凡そシャイだから、「ステキね。」とか言葉をかけて来ることは稀れ。まして「何でキモノを?」と聞いてくることをや! ほとんどの人が“見て見ぬふり”、です。
それでも、対人センサーが精緻な日本人(ワタクシ)は、視線を感じるのでありますが。
そんな私の場合。着物を着るのは日本人であることを非言語で(衣服ですから)表すツールとして優秀だから、かな。 主に、対外的には。
本人的には、ぶっちゃけ“好きだから”。着ていて心地がいいし、自分に似合うスタイルを研究して、コーデを考えるのが楽しいから。生まれたときから着続けて今に至る洋服に比べたら、着物って新しい分野だし。制約が多いぶんだけ、燃えるのです。流行を超越しているので、90歳になっても着られる衣服なんて、コスパも最高。
これまで誰にも聞かれたことがなかったので、自問自答してみました。
とりあえず、こんなところでしょうか。
(こんど、このテーマで座談会なんかしちゃったりする時は、呼んでくれまほし。もっと掘り下げられるような気がします。)
Yokoさん、
海外に行くと日本について聞かれたり、日本って何だろうと疑問に思ったりしますよね。
あとは、現地の人たちに対して日本人らしさを伝えて自分の支えとしてみたり。
西洋の人って、シャイな人もいるものなのですね!日本と似てますね~そのリアクション^^
そういえば書き忘れてました。
僕も着心地がいいし、着ていて楽しいんでしたw あとで追記しておきます。
座談会やりましょうね~^^
ハードは得意だけど、ソフトはって、よく言われてる事でしたよね。
家電でスゴく言われてたけど、技術は凄いんだけど、そこまで要る?みたいな機能が使いこなせないとか。
着物もね~、職人の業って確かに素晴らしいし、技術って消えたら再現するのが不可能になる事が多いから伝承して欲しいとは思うけど、一般人では財力に限界がありますよね。
高い着物だと汚す心配で出掛けにくいし、手入れ大変だしで着るハードルが上がってしまう様な…。
比較的ハイソな交流会に参加する立場の方なら、それ相応の格のある着物が必要になるけど、普段着物には必然性がないんですよね~f(^_^)
私みたいなズボラで仕事柄不規則生活にはポリ着物がピッタリだと再認識しましたが、絹以外は着物じゃないとか言う方もいらっしゃいますからね~。
職人の業って習得するのにナン十年も掛かったりする訳ですが、暈しとか細かな柄の再現はインクジェットの方が経験浅い職人より正確に出来るそうなんです。本物?でないと嫌な方も要れば、気楽に着たい方も要る。
需要と供給な資本主義ばかりが良い訳ではないですが、ニーズが多様化してて、着物に求める物がそれぞれ違うのではと思うので、十人十色の着物を着る理由がある方が現代では自然で当たり前かもですね。
文化的土台は戦争で一旦、途切れてしまったので習わないと着れない、自国の衣装とは名ばかりになってしまいましたが、好きだから・楽しいから着るというシンプルなのが実際強いんじゃないかな?
文化的な事は分かってなくても、やはり日本人受けするって、ありますよね。
我が愛するイエモンは日本人の琴線にふれるロックがやりたいとのビジョンがあり、実際ジャパニーズロックなる物、イエモンロックを確立させたと思ってます。
ロックの本家は外国なので、借り物でしかない中から自分達の文化や歴史を否定せず、イエローモンキーの名に相応しく?猿まねと言われ様と見事に融合した自分達のロックにしてくれました(^^)v
宇多田ヒカルとか向こうで育ってるので、英語力もあるし、向こうの土台もある程度理解出来てるハイブリッド人だと思うのですが、日本人受けする感性ですよね。
アメリカデビューした時、バリバリ向こう向けのプロデュースしてて、宇多田ヒカルの良さが薄かった。やはり向こうでもヒットしませんでしたしね。
服装でも音楽でも何でも、文化とか歴史(時代)があって、活きてくるんだな~と気づいたんですが、日本は断裂と言う歴史があるので、根幹が揺らいでしまった訳だから、そこから取り戻そうと思うと大変ですよね(職人の業と通じる)ただの着る物で終わるのか、自らのアイデンティティにまで影響する物となるのか…何でも物事は奥が深いモノですね。
Sさん、
職人の技とやらは残せたらいいですが、実際普段着ている分には、そんなにたくさんトッププレイヤーの技って必要なかったりしますよね。
精巧な柄を縫いこむとか絞りとかでもなく、単純に無地のポリを安くシンプルに着られればいいシチュエーションの方が多いような。
毎日毎日ハイソなパーティーに出るわけでもないし、むしろショウユをこぼす危険性と隣り合わせですからねw
なんでも手作業がありがたいとは限らないですしね、機械化により。
やはり楽しさですよね。ルールで厳しくしばったり高級感ばかり演出するようでは、なかなか人は集まらないと思います。
日本経済がとても豊かになって海外に出て行けるようになったり、経済のグローバル化で海外と仕事しなければならなかったりで、
今までよりも日本人は海外と接する機会が増えてきました。
そんな状況で、自分たちのアイデンティティを着物に求める人たちも増えてくるのではないでしょうか^^